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介護支援専門員の資格取得でキャリアアップ!仕事の幅が広がり、専門性が深まります!!

病院を退院後、自宅復帰を目指すための中間施設「介護老人保健施設メイプルハウス」の一室。
そこにはパソコンに向かい、熱心にケアプランの入力作業を行ったり、電話を手に入所者のご家族と真剣に話をしたりする介護支援専門員の龍晶子さんと居石裕美さんの姿がありました。

おふたりに介護支援専門員の仕事などについて話を聞きました。

お話を伺った方

介護老人保健施設メイプルハウス 勤務

介護老人保健施設メイプルハウス 勤務

介護支援専門員 龍 晶子(左)
介護支援専門員 居石 裕美(右) 龍晶子さん/佐賀女子短大に進学して、介護福祉士の資格取得。2003 年同施設に就職し、2009年に介護支援専門員の資格を取得した。
居石裕美さん/佐賀女子短大に進学して、介護福祉士の資格取得。1996 年に同施設に就職し、 2018 年に介護支援専門員の資格を取得した。同施設介護主任。

ーー「介護老人保健施設メイプルハウス」に介護支援専門員として勤務するおふたりが、介護福祉の道に進まれた理由を教えてください

龍さん : 高校の保育福祉科に進学したのですが、高齢者施設で実習したときにおじいちゃん、おばあちゃんに接してみると優しくて「みんなカワイイ」と感激しました。その時から私は保育より福祉が向いているなと思って福祉を選びました。それに保育士はピアノを弾かなくてはいけないし、私にはちょっとハードルが高いなと思ってたのもあります(笑)。 短大でも介護福祉の専門職としての知識や技術などを学んで介護福祉士の資格を取得しました。

居石さん: 祖父母と同居していたので、龍さんの話はよく分かります。私の場合は大学受験を考えるころ、介護福祉士が国家資格になって間もないときでした。介護福祉を学んだら祖父母のために役に立つかもしれないと思って選びました。施設で働くようになって大変なこともありますが、入所者の方に感謝されるなど、癒やされることも多いです。

おふたりに共通するのは、お年寄りが好きだったこと。

  介護支援専門員は高齢者の生活を支えるキーパーソン

ーーおふたりとも今は介護支援専門員ですが、どんな仕事をするのですか。

龍さん : 高齢者が要介護認定を受けられたときの相談窓口です。一般的にはケアマネジャー(以下ケアマネ)と呼ばれることが多いのですが、介護支援専門員はケアマネの正式な名前です。要介護者や要支援者が普段の生活を送れるようにご本人やそのご家族の相談に応じて、必要な介護保険サービスを受けられるように支援するお仕事です。どんなサービスがあるのか、要介護者や要支援者、ご家族がよりよい選択ができるように情報提供も行っていきます。

居石さん: 具体的に言うと「要介護」とは、身体障がいや認知症などで介護が必要な状態を指さします。どのくらい介護が必要なのかを調査して、それによって要支援 1、要支援 2、要介護 1 ~ 5 と要介護度が決まります。介護支援専門員は、その要介護度に沿って市町、サービス事業者、介護施設との連絡や調整を行いながら、介護保険サービスを提供するための計画書「ケアプラン」を作ります。

介護支援専門員は各所と連携して、要介護者のためにケアプランを練り、作成することが主な仕事です。

ーー介護支援専門員は、どんな施設で仕事をするのですか。

居石さん: 介護保険の入所施設、医療施設、居宅介護支援事業所に配置されています。介護支援専門員は「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」があり、仕事の内容が少し変わってきます。居宅ケアマネは、在宅(自宅)で過ごされている人が訪問介護やデイサービスなどを受けられるようにケアプランを組み立てていきます。施設ケアマネは、施設内で過ごす入所者のためにケアプランを作成します。

龍さん : 私たちは介護老人保健施設に所属しているので施設ケアマネです。入所者とご家族がどういう過ごし方をしたいのか要望を伺って、リハビリについては理学療法士や作業療法士または言語聴覚士に、刻み食など食事については管理栄養士や栄養士に、というように、それぞれ専門職と相談しながらケアプランを作ります。一般的には介護支援専門員は介護の現場で入所者の介護サポートに入ることはないのですが、当施設では介護支援専門員が介護支援専門員業務のほかに、入所者の介助も行っています。同日にケアマネ業務と介護サポート業務を行うことはなく、しっかり別日に分けて、そのときどきの業務に集中しています。現場に出ると、より入所者の状態を把握できるので、ケアプランの立案にも生かされています。

多職種と話し合い、ケアプランを作成

ーー介護支援専門員のある一日の仕事の流れを教えてください

龍さん : 当施設にはケアマネジャー 3 人とパート職員を含めて、介護職は 28 人。入所者(定員 80 人)のサポートをしています。ケアマネの勤務時間は 9 時~ 18 時。午前中はケアプランの作成をしていることが多いですね。ケアプランは 3 カ月ごとに見直すことが決まっていますから、入所者の状態をチェックして計画を練り直します。さらにご家族に入所者の現状とこれまでのプランを伝えて、変更したいことがあるのかなど聞き取りをします。ここ数年はコロナ禍の影響で電話による聞き取りが多かったですね。また新規入所者についても、例えばトイレの介助が必要な人ならば、どの程度の手助けが必要なのか状態を確認し、ご家族の方は本人にどう過ごしたいのかを聞き取り、それらを総合してケアプランを作成します。

居石さん : 午後は、医師や看護師、理学療法士や作業療法士、栄養士など多職種が集まって、私たちが作成したケアプランを基に入所者 1 人ずつ、検討していきます。夜の状態についても確認する必要があるので、数日かけて入所者の状態をチェックしてプラン作成し、話し合い、修正を繰り返していきます。話し合いではみんなの意見を調整していくので、ケアプラン作成が一番、時間がかかりますね。ケアプランが出来上ったら、ご家族に説明し、了解を得ます。

施設内の理学療法士などの専門職と相談をしながらケアプランを検討していきます。

ーー介護支援専門員になるためには、資格が必要ですか。

龍さん :はい必要です。介護支援専門員は医師、介護福祉士や社会福祉士、看護師、保健師、栄養士などの国家資格に基づいた業務を通算 5 年以上、なおかつ 900 日以上の実務経験がある人に受験資格が与えられます。私が施設に就職する少し前までは、介護支援専門員という職種はなかったんですよ。介護福祉士として現場での実績を積んできましたから、さらに次のステップになるかなと思って受験しました。1回目は不合格でしたが、2回目で合格。介護福祉士もそうですが、介護支援専門員は全国どこでも通用する資格なので、仕事を探すときには有利ですし、安定にもつながります。また資格取得でお給料アップにもつながります。

居石さん : どの職業もそうだと思いますが、40 歳を過ぎると体力的にきつくなります。私はずっと介護の現場にいましたが、次のステージに立つために、介護支援専門員の資格取得に挑戦し、2018 年にケアマネになりました。資格取得試験はまず、ペーパーテスト。それに合格したら、所定の研修を受けます。ケアマネに同行して現場研修したり、ケアプランを作ってみたり、グループワークをしたり、その後、正式に合格となります。ただ、一度、合格したら終わりではありません。資格の有効期限は5年。有効期限まで、経験に応じて更新に必要な研修を受ける必要があります。龍さんもそうですが、受験のために通信教育を受けたりして…(笑)。 佐賀県の合格率は約 14.3%(2022 年度)と狭き門ですから、やりがいがあります。

介護現場での業務とは違い、ケアプランの作成時はオフィスワークが多くなります。

立案したケアプランで、身体機能の好変化にやりがい

ーー介護支援専門員になってよかったこと、どんなときにやりがいを感じますか。

龍さん :介護支援専門員は多職種それぞれの立場から見た意見が聞けることがとても勉強になると思いました。その意見を持ち寄って、介護支援専門員が入所者とご家族にとってベストなサービスを立案できるので、やりがいがあります。また私たちが立案したケアプランにそって過ごした結果、身体機能が低下していた入所者が自分でごはんを食べることができるようになったとか、立ち上がれるようになったとか、少しでも成果がでると「ああ、よかったなあ」という気持ちになりますよ。コロナ禍で、ご家族は入所者に遠目にしか会えなかったけど、遠くからでも「顔色がよくなったね」と言われたのは嬉しいですし、これもやりがいにつながっています。入所者とご家族に満足してもらうことが一番大切です。介護支援専門員と介護現場スタッフ、多職種が連携して対応していくことが大事だと思います。

居石さん : 私も同じです。多職種と連携すると、1 人の入所者に対していろんな切り口で意見が聞けるので、介護支援専門員になってよかったと思いますね。

龍さん :介護の仕事をしていると話すと周りから、「わあ、大変ね」と言われることは多いですが、慣れればそうでもないし、みんなに伝えきれないよさもいっぱいあります。少しでも身体機能が改善すれば、嬉しいですよ。

居石さん : 慣れればそうでもないと言うのも変ですが、「ああ、便が出たね。よかったあ」と、そういうことも感動で、家族と同じような気持ちになります。

龍さん :介護支援専門員の仕事は家族のような気持ちで入所者を支え、その一方で利用者の状態を客観的に見る冷静さも持って入所者のプランを立案していくことが大事だなって思います。

入所者やデイサービスで施設を訪れる利用者が機能訓練のために作成した作品。施設の壁に掲げられて訪れる人の目を楽しませています。

介護支援専門員はコミュニケーション力が一番大事

ーー介護支援専門員にはどんな人が向いていると思いますか。これから介護の道に進もうかなと思っている人にもメッセージをお願いします。

お二人 : まずはコミュニケーション好きな人。介護支援専門員は入所者とそのご家族、多職種のスタッフなどいろんな人に話を聞いたり、自分の意見も言ったり、ご家族に説明したり、意見を調整したりと、人とのかかわりがとても多いので、コミュニケーションが好きな人はとても向いていると思います。次に柔軟性ですね。調整役でもありますし、いろんな仕事が次々に来ますから、臨機応変に対応する力が必要ですね。最後に、「お年寄りが好き」というのも大事です。後はパソコン入力ができれば OK。介護福祉の分野に進んで、介護支援専門員を目指してください。