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心と身体の負担が軽くなる。先進機器の導入で見える新しい介護

介護の現場では、今、多くの先進機器の導入が進んでいます。それは、介護職員の身体の負担を減らすだけでなく、利用者さんへのメリットも多く見られます。

今回は、そんな先進機器を県内でもいち早く導入し、活用している嬉野市の社会福祉法人 済昭園にお話を伺いました。

お話を伺った方

社会福祉法人 済昭園 勤務

社会福祉法人 済昭園 勤務

石井  美咲(左)
吉永 しのぶ(右)

ーー導入前は、どんな問題や課題がありましたか?

石井さん : 介護職あるあるですが、腰痛を持っている人は多いですね。身体の負担が気になるという職員はいましたね。吉永さん : 例えば、大柄な人を移乗(ベッドから車いすなどへの移動)する際には、もちろん十分に注意をしていますが、転倒や落下などの危険はいつも頭にはありました。

ーー先進機器の導入はいつ頃から始まりましたか?

吉永さん : 今から約4年前に導入が始まったと記憶しています。施設長をはじめ、管理職が東京で開催された先進機器の展示会に足を運んだそうです。そこで、現場の声も参考にしながら導入する機器を決めていきました。

ーー導入はスムーズに進みましたか?

吉永さん : 最初は、使い方がわからないなどの声もありました。しかし、いざ使用してみると、便利さや安全さを感じて、今では欠かせない私たちの相棒になっています。石井さん :操作に関しては、難しいかな?と思っていましたが、しっかりと研修もおこないましたので、安心して使うことができました。

ーー介護の現場には、どんな変化が起こりましたか?

石井さん : やっぱり、一番は身体の負担、特に腰への負担が減りましたね。また、余裕ができたぶん、利用者さんへの声かけや細かい変化にも気付くことができるようになったと感じています。吉永さん : 最初は、使い方がわからないなどの声もありました。しかし、いざ使用してみると、便利さや安全さを感じて、今では欠かせない私たちの相棒になっています。

ーー済昭園の先進機器を紹介してもらいました。それでは、済昭園で実際に使用されている先進機器について教えてください。

吉永さん : まずは、移乗サポートロボットです。移乗サポートロボットは1人で立ち上がることが困難な方を車椅子からベッド、トイレなどに移乗する際に使用しています。職員が2人がかりで行う介助が、移乗サポートロボットを使用することで、1人で介助できるようになりました。石井さん : 円柱状の2本の棒が人間の腕の役割ですね。操作は「上がる・下がる」のみなので、簡単です。慣れている利用者さんは、ご自分で移乗サポートロボットを引き寄せて、自らポジションにセットしてくださいます。利用者さんも余計な力を使わずに済むので、身体への負担も減っているようです。

吉永さん : 次は『リフト』の紹介です。これも移乗の際に使用しています。利用者さんの背面に専用のシート敷き、背の高いアームに吊るようなかたちで持ち上げます。石井さん : リフトも移乗サポートロボット同様、2人がかりで行う介助を1人でできるようになります。利用者さんは包み込まれるので、怖がられることなくむしろ安心してもらっています。

吉永さん : 次の機器は見守り機器です。これは、ベッドに付けるカメラとセンサーの役割です。ベッドで寝ているはずの利用者さんが立ち上がったり、落下しそうになると異常を感知し、職員が持っている端末へ通知が来ます。端末ではリアルタイムのシルエット映像を確認することも可能です。見回りで部屋に入る回数も減らせるので、利用者さんのプライバシーの保護にも役立っていると思います。また、夜勤の際には、少人数の体制でもしっかりと見守ることができます。
石井さん : 万が一、事故があった際には、ドライブレコーダーのように遡って録画映像を確認できるので、次に事故を起こさないための対策ができます。機器と人間による見守りで利用者さんの安全な生活を可能にしているんですよ。

吉永さん : このベッドは自動体位変換エアマットレスです。一見、普通のベッドマットに見えますが、数分ごとにエアが入る場所が変わり、寝ている利用者さんの体位変換を自動で行うことができます。石井さん : 自分で寝返りが打てない利用者さんは、床ずれなどを起こしやすくなります。それを軽減できるマットレスです。

ーー他に導入している機器はありますか?

吉永さん : 利用者さん1人ひとりのその日の様子や介助の記録を記入できるタブレットがあります。これまでは、紙に記入する方法だったので、字が読みづらいとか紙がかさばるなどの課題がありました。今は、データなので情報の管理や検索が簡単になり、日勤と夜勤の引き継ぎもとてもスムーズにできるようになりました。
石井さん :あと、私たちが耳に付けているインカムもとても役立っています。これまでは、ヘルプが欲しいときに大きな声で職員を呼んでいました。特定の人を探したいときにも、インカムを通じて話しかければ、探しに行く手間が省けます。仕事の効率化が進んでいますね。

ーー機器を介することで、心の距離は縮まる。先進機器、たくさんのメリットがありそうですね。

吉永さん : そうですね。しかし、これまで同様に事故への注意を払うことには変わりありません。逆に、機器による事故も想定しておかないといけませんね。また、例え機器を使っていても、移乗の技術や体力は必要だと思います。
石井さん :機器を使うことによって2人必要だった介助が1人でできるようになりました。そのぶん、利用者さんと触れ合う時間は増えました。これまでできなかったことができるようになった嬉しさを感じています。
吉永さん : 私たちの働きやすさが、利用者さんの快適な生活につながると信じています。機器の力を借りながら、利用者さんがその人らしい生活を送れる施設を目指していきたいですね。

EDITORS SAGAより転載 、一部修正