事業所を探す

special 特集

Story20

介護現場の働きやすい職場環境づくりを支える「さが介護業務効率化サポートセンター」の取り組み

少子高齢化が進む中、佐賀県における75歳以上の人口は、2035年頃まで増加すると見込まれており、将来に向けて必要な介護人材を確保していくことが課題となっています。
そこで県では、テクノロジーの活用や職場環境の改善による業務効率化を推進し、働きやすい職場環境づくりと介護サービスの質の向上を図るための支援拠点として、「さが介護業務効率化サポートセンター(以下「センター」)」を開設しました。
センターでは、どのような支援を行い、現場の声にどう応えていくのか。センターの伊東さん、中尾さんに詳しくお話を伺いました。

お話を伺った方

さが介護業務効率化サポートセンター

さが介護業務効率化サポートセンター

伊東 義晃 センター長 (左)
中尾 安孝 氏 (右)

業務負担軽減に応える、新たな支援拠点

―― センターでは具体的にどのような支援やサポートを行っていますか?

伊東さん:私たちは、主に5つの柱で支援を行っています。まずは相談窓口として、電話やオンライン、そして来所での相談を受け付けています。また、現在は現場で活用できるノウハウを学べる研修会や展示会などを開催しており、すでに多くの方にご参加いただいています。さらに、一歩踏み込んだサポートとして、専門のアドバイザーが直接事業所へ伺い、課題解決まで継続的に支援する「伴走支援」にも取り組んでいます。

中尾さん:電話や写真の説明だけでは、実際の使い心地や便利さは伝わりにくい部分もあるので、「機器を実際に試してみたい」という事業所向けに、機器の試用貸出の調整も行っています。また、センターに一部機器を常設で展示しており、気軽にセンターへ足を運んでいただくことで、体験することもできます。

―― すでに多くの相談が寄せられているそうですが、現場からは特にどのような悩みのご相談が多いですか?

伊東さん:一番多いのは「現場の業務負担」に関するお悩みですね。「直接的なケア以外の業務が大変」という話をよく聞きます。

特に多いのが、記録業務に関する負担です。記録等の事務作業に追われる時間が長くなってしまっているという声もあります。

その他にも、「今の状況を改善したいけれど、何から手をつければいいのか分からない」という声も目立ちます。現場の中にいると、余裕がなかったり、いつものやり方が当たり前になってしまっていて、課題そのものに気付きにくいケースも多いようです。

そうしたときに、私たちのような支援者が入ることで、状況を整理しながら、解決へのヒントを見つけるお手伝いができたらと考えています。

テクノロジーは「体の負担」だけでなく「心の負担」も軽くする

(業務を効率化するさまざまなテクノロジー機器が展示されています)

センター内には様々な機器が展示され、実際に触れて体験することができます。どのような場面でこれらのテクノロジーが活用されるのか教えていただきました。

伊東さん:例えば、ベッドから車いすへの移乗をサポートする「移乗支援機器」があります。

移乗の介助は、どうしても職員の腰に大きな負担がかかり、体を痛めてしまうケースも少なくありません。また、不安定な介助は精神的な負担がかかります。こうした場面で機器を上手に使うことで、介助する側の負担を大きく減らすことができます。

また、機器の導入は、介護職員だけでなく利用者の方の負担を軽くすることにもつながります。機器を使うことで不安定な介助がなくなり、安心感が生まれます。結果として、介助する側・される側の双方に、ゆとりが生まれるんです。

(利用者は機器に身を任せ、介助者はボタンを押すだけでゆっくりと移動ができます)

―― 事務的な業務を効率化させるテクノロジーについても教えてください。

伊東さん:最近はスマートフォンやパソコンで簡単に使えるテクノロジーも増えています。

例えば音声入力システムを活用すると、インカムを付けて話すだけで、その内容が連携する端末に記録されます。これまでのように、紙にメモして後から入力したり、書類を別で作ったりする手間を減らすことができます。
また、インカムは介護職員間の連絡手段の一つとしても使われ、リアルタイムな情報共有にも役立ちます。利用者の方のコールがあった場合でも、状況がすぐに共有されるため、必要以上の人数が同時に動いてしまうような無駄を防ぎ、業務の効率化につながります。

(音声がそのままパソコンに文字入力され、記録業務の手間を省くことができます)

現場に寄り添い、佐賀の介護全体を良くしていく

業務の効率化に役立つテクノロジーの導入にあたっては、コスト面や、新しい仕組みに対する現場の理解といった課題がありますが、こうした壁をどう乗り越え、働きやすい職場環境を実現していくのか。サポートにあたり大切にしていることについて伺いました。

―― 導入をサポートする上で大切にしていることを教えてください。

中尾さん:大きな施設と訪問事業者では経営の状況も違うので、導入のしやすさにも差が出てきます。また、予算を投じて機器を導入したのに、職員の方が慣れない操作に不安を感じて、結局使わなくなってしまうというケースもあります。

事業所によって課題が様々であるからこそ、私たちは現場に寄り添い、最適な選択肢を共に探ることを大切にしています。ときには私たちが直接現場へ足を運び、「まず何から取り組めば、一番負担が軽くなるのか」を事業所の皆さんと一緒にじっくりと考えていく。そういった、安心して相談できるサポートを心がけています。

―― 最後に、現場で働く方や、介護を学ぶ学生さんへメッセージをお願いします。

伊東さん:まずは私たちセンターの存在を知っていただき、どんな小さなことでも構いませんので、業務改善について「相談する」ことから始めてほしいと思っています。一つひとつの事業所で改善が進み、その成功事例が他の事業所にも共有され、広がっていく。そんな好循環を生み出すことで、佐賀県全体の介護現場をより良くしていきたい。それが私たちの願いです。

中尾さん: これから現場に出る学生さんは、テクノロジーを使いこなすことに比較的抵抗が少ない世代だと思います。皆さんの新しい視点が現場に入ることで、業界全体の意識も変わっていくのではないかと期待しています。テクノロジーやロボットを味方につけて、利用者の方の安心・安全と、自分たちの働きやすさの両立をぜひ実現していってください。