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お話を伺った方

池吉三千夫（いけよしみちお）

医療法人清友会　介護老人保健施設ライフエイド／事務長、介護支援専門員
大学卒業後、就職のために生まれ故郷の鹿児島に帰るも、再び佐賀へ。大学の恩師の紹介で2006年に介護老人保健施設ライフエイドに管理栄養士として入職。その後、ケアマネージャーの資格を取得し、2020年から現職。

1988年に設立した医療法人清友会。人間愛の精神を基盤に、高齢者とその家族が、老いの変化によって生じるハンディキャップをそのまま受け止めながら、その人らしく心豊かに生きていけるように、力を尽くした医療、心を尽くす看護・介護を両輪として、医療と福祉を踏まえた包括的医療を推進している。グループとして、清友病院、クリニック、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、グループホーム、在宅支援事業、高齢者の方のための総合相談窓口『おたっしゃ本舗』を展開。
今回は、介護老人保健施設ライフエイドの池吉三千夫さんにお話を伺った。

大切にしているのは、介護職を志した“初心”

介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、社会復帰や在宅療養支援などを行うための施設で、リハビリテーションの提供の他、医師のサポートを通じ、心身機能の維持・改善の役割を担っている。

池吉三千夫（以下、池吉）
「介護老人保健施設ライフエイド（以下、ライフエイド）は、1990年に開設しました。高齢化社会が加速する中で、要介護高齢者、とくに認知症の症状がある高齢者の方のための施設が切実に求められている社会的ニーズを受けて誕生した施設です。施設名のライフエイドは、人生（ライフ）を支援（エイド）していく、という意味で名付けられました。介護を必要とする高齢者の自立を支援し、在宅復帰や在宅療養支援を行なっていて、医学的な管理のもとで介護・看護・リハビリを提供しています。看護師も常駐していて、同法人の病院・清友病院が隣接していますので、何か緊急の自体があった時にもすぐに対応できるということで、安心して利用いただいています」

認知症の症状がある方にケアを行なう『認知症専門棟』も開設している同施設。施設の特徴と利用者と接する際に大切にしていることを伺った。

池吉
「認知症専門棟では、認知症のために日常生活に何らかの支障があって支援が必要な方に対し、利用者様一人ひとりの個性や心身の状況・生活歴などを把握して日常生活のサポートを行なっています。認知症の症状がある方は、環境や雰囲気が変わるととても不安を感じられるので、その辺りは特に配慮しています。落ち着いて過ごしていただけるように、穏やかな雰囲気を大切にし、明るく家庭的な雰囲気の中でケアを行なっています。清友病院からの紹介で入所される方もいらっしゃるので、先生とも顔馴染みということで安心される方も多いです」

ケアマネージャーでもある池吉さん。介護のプロとして、利用者の心に寄り添ったケアをすることを心がけているという。

池吉
「車いすの利用者さんも多いので、利用者さんの目線に合わせてお話しすることを心がけていますし、丁寧な言葉遣いや態度で接することも大切にしていますが、一番気を付けているのはケアをする際の心持ちです。日々、利用者さんと向き合う際に“お世話をしてあげている”などという気持ちにならないよう、定期的なミーティングや申し送りの際など事ある毎に、“なぜ介護職を選んだのか”、“その時どんな気持ちだったか”など、介護職を志した時の初心を思い出す機会を設けるようにしています。介護のプロとして、利用者さんの心に寄り添ったケアをするためにも、常に自分自身にも言い聞かせています」

介護経験がなくても大丈夫。安心して学べる職場環境

現在、介護スタッフを募集中とのこと。どんな人材を求めているかを伺った。

池吉
「求めているのは、明るくコミュニケーションがとれる方です。さらに、利用者さんのことをどれだけ大切に思えるかも重要なポイントだと思います。介護経験がない方でも、介護の仕事が好きで仕事に誇りを持てる方であれば、是非チャレンジしてほしいと思います」

同施設では、20代から60代までの幅広い年齢層のスタッフが活躍しているそう。

池吉
「年齢が高いスタッフであれば、介護補助という立場で配膳や利用者さんの身の回りのお世話をしてもらうなど、それぞれのスタッフが適材適所で頑張ってくれています。当施設には介護職経験が長いスタッフも多いので、分からないことや困ったことがある時に常に周りに相談できる環境となっています。オリエンテーリングのような形で研修期間も設けていて、現場での教育担当がしっかりサポートをしていくので、介護経験がない方であっても安心して学べる環境が整っています」

オンライン研修や外部研修も定期的に開催されているほか、部署毎や法人全体での研修も行われるなど、様々な学びの場も用意されている。職場はどのような雰囲気なのだろうか。

池吉
「常にスタッフ同士が声をかけ合うような、明るい雰囲気の職場です。職場での対人関係は、仕事を円滑に進める上でも大切なポイントだと思いますので、各グループのリーダーが常に気をつけていつでも相談できるような環境を作るなど、人間関係がスムーズにいくような配慮もしています」

福利厚生の一環として『奨学金返済支援手当』制度がスタート

働きやすい環境づくりと、スタッフの採用に繋げるため、新たな取り組みもスタートしている。それが、2022年から始まった『奨学金返済支援手当』制度の導入だ。

池吉
「最近は、大学・専門学校・高等学校などへの進学率の上昇や景気低迷などの社会情勢を反映して、奨学金の貸与規模は年々増加傾向にあるといいます。そんな中、次の世代の担い手にのびのび成長してもらう環境を整えることが、私たち法人の未来を支えることにも繋がると考え、少しでも若いスタッフの力になれればという想いから、福利厚生の一環として奨学金返済支援手当制度を導入しました。日本学生支援機構・地方公共団体の奨学金など、当施設が適当と認めた奨学金が対象となり、認められた方には毎月の奨学金返済額を手当として支給するというものです」

若い世代の多くが奨学金返済を「苦しい」と感じているというデータもあり、各企業における奨学金返還支援の動きが全国的に進んでいる中での取り組みとなる。これから目指す施設の在り方を伺った。

池吉
「今後も、家庭復帰を目指す方をできる限りサポートできるように、さらなるケアの充実を図っていきたいと考えています。作業療法士によるリハビリや生活訓練の他、一人ひとりの体調やニーズに合わせて集団でのレクリエーションから少人数での活動などを組み合わせることで、楽しみながら身体機能の維持・向上を図っていきます。ご家族との情報共有もしっかり行いながら、心豊かな家庭生活への復帰を目指したケアに取り組み、地域福祉の役に立てることを願っています」