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お話を伺った方

井手 理未（いで りみ）

グループホーム ユートピア 介護スタッフ
美容系専門学校卒業後、マッサージ関連企業、歯科医院での仕事を経て、介護業界に進む。結婚を期にユートピアに転職し、現在に至る。

中村 勝久（なかむら かつひさ）

ユートピア居宅介護支援事業所 管理者
飲食業界に11年間勤務。その後ユートピアに転職、デイサービスの介護スタッフ、生活相談員を経て、現在に至る。

忙しい日々に追われると、「仕事が楽しくない」、そう考えはじめてしまうことがある。特に、やらなければならないことが多くある職場はそうなりがちではないだろうか。介護の仕事と聞くと、同じようなイメージを抱く人もいるかもしれない。

実際はどうなのだろうか。

「仕事で利用者さんと接するなかで、素で笑ってしまうことが結構あるんですよね」こう語るのは社会福祉法人鶴丸会（以下、鶴丸会）が運営する認知症グループホーム ユートピアで働く井手 理未さん。

同法人のユートピア居宅介護支援事業所で管理者として働く中村 勝久さんは、「仕事をする上で、真面目さだけではなく遊び心も大事だと思うんです」と話す。

これらの言葉から仕事を楽しんでいるように見えるお二人。どのような環境で働いているのか、またどんなところに仕事の楽しさを見出しているのだろうか。

自然豊かな場所にある鶴丸会

デイサービスや認知症グループホームなどを運営する鶴丸会。伊万里市街から車で20分、四方を山に囲まれた自然豊かな場所に事業所がある。

井手さんに現在の仕事内容をたずねると次のように教えてくれた。

井手 理未さん（以下、井手）「勤務時間は早出と日勤と遅出と夜勤の4パターンあって、シフトが組まれます。日々やっていることは、利用者さんのバイタル（呼吸、体温、血圧、脈拍）を測ったり、排泄のお声かけをしたり、食事を準備したり、お風呂の介助に入ったり。空いている時間は一緒にレクリエーションをしたり、外へ散歩に行ったりして過ごしています」

中村さんの働く居宅介護支援事業所とは、介護サービスが必要な人や家族の相談に応じ、サービスが受けられるよう、計画を立てたり、サービス事業者等との調整を行う事業所だ。

中村 勝久さん（以下、中村）「利用者さんやご家族それぞれが何に不安やストレスを感じているのか、話を聞きながらサポートしたりケアしたりする仕事をしています。目の前にいる人のお話を聞きつつ、その人の生活とか背景にあるものを想像しています。

また、別の事業所や病院、地域包括支援センターなどの支援機関とも連携するので、さまざまな人との関わりが常にある仕事だと思っています」

働きやすい環境をさまざまな面で支える

それぞれ違う業務を担当する井出さん、中村さん。職場の雰囲気をたずねると次のように答えてくれた。

井手「入職したときから、わからないことを聞いたり、相談したりしやすい環境でした。入って1ヶ月で面談があって。まだ自分のなかで何に困っているのかもうまく言葉にできない時期だったんですけど、上司に話をしながら整理できたんです。

シフトについても、私の仕事の覚え具合を見ながら提案してもらったので、自分のペースで仕事に慣れることができました」

井手さんの話に頷きながら、中村さんは、「スタッフ一人ひとりを大切にしていて、負担を減らそうとする姿勢を組織として持っている」と続ける。

中村「例えばビジネス版コミュニケーションツールを活用していたり、介護記録や各種報告書も電子化されています。利用者さんやご家族、スタッフ同士のコミュニケーションを大切にできるように、効率化できるところは積極的に取り組んでいます」

鶴丸会がスタッフに提供する福利厚生制度の一例として、子育てと仕事の両立を支える育児休業制度や事業所内の保育施設がある。スタッフが働きやすい環境をさまざまな角度から支えていると言えるだろう。

真面目さだけではなく、遊び心も

そんな環境で働くお二人が、仕事において大切にしていることはなんだろうか。

井手「利用者さんそれぞれ性格も好みも違います。スタッフとどう関わりたいのかも、もちろん違います。積極的にお話したい人もいれば、そっとしておいて欲しい人もいる。そもそも同じ人でも日によって違う。なので、一人ひとりのことをよく見ながら関わりたいと思っていて。

自分の視点だけだと気づけないことも多いので、他のスタッフと『〇〇さん今こんな感じかなあ』などやりとりしながら、関わり方を考えています」

中村「鶴丸会の行動規範に『ベストを尽くせ』があります。利用者さんにとって何がベストなのか、自分が今いる環境でできる範囲の中で最大限のことをしたい。自分が生きていくなかで出会える人の数って限られていると思うんです。だからこそ、その利用者さんとの出会いが一期一会であることは忘れないようにしています。

ただそこには真面目さだけではなく、遊び心も大事です。どうすれば利用者さんに楽しんでもらえるのか、喜んでもらえるのかを考えるときには特に必要だなと」

井手「どうすれば利用者さんが楽しめるのかを常に考えているスタッフが鶴丸会には多い気がします。『桜が咲いているから、利用者さんと散歩に行くのも楽しいよね、行こうよ』とスタッフが声をかけてくれるんですよ」

遊び心を大切にするには、自分自身が日々の暮らしや出来事を楽しみ、味わう必要があるのではないだろうか。

井手「利用者さんと接するなかで、素で笑ってしまうことが結構あるんですよね。唐突に自分が思ってもないようなおもしろいことを言われたとき、思わず笑っていて。

仕事なのに素で笑える機会ってなかなかないじゃないですか。でも介護の仕事は、それがあるんですよね。仕事だけど、利用者さんに楽しませてもらったり、癒してもらったりもするんです」

井手さん、中村さんのお話を聞いて、鶴丸会で働くスタッフは、それぞれの形で仕事を楽しんでいるのだと感じた。スタッフが楽しんでいると、利用者にもいい影響が生まれるはずだ。これからどんな楽しさの連鎖が生まれるのか、今後が楽しみだ。