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お話を伺った方

松本一敏（まつもとかずとし）

社会福祉法人洞庵の園　理事長
企業勤務を経て、酪農関係の仕事に従事し、その後1966年に（株）松本建設を創業。“両親の代わりに、高齢者に親孝行をしたい”という想いから1985年に社会福祉法人洞庵の園を設立し、同年に軽費老人ホームA型・洞庵荘を開設。

松本竜四郎（まつもとりゅうしろう）

軽費老人ホーム洞庵荘　副施設長
大学卒業後にIT系の企業に就職した後、1989年には社会福祉法人洞庵の園に生活相談員として入職。10年ほどの勤務の後、理事長が代表を勤めていた（株）松本建設へ転職し、2004年には再び社会福祉法人洞庵の園に入職。2011年より現職。

社会福祉法人洞庵の園の法人設立は1985年。理事長が若くして両親を亡くしたことがきっかけで、“両親の代わりに、高齢者に親孝行をしたい”という想いに至り、佐賀県で民間初となる軽費老人ホームA型・洞庵荘を開設した。現在は、グループホーム、小規模多機能ホーム、特定施設入居者生活介護施設・サービス付き高齢者向け住宅を展開している。 今回は、理事長・松本一敏さんと、副施設長・松本竜四郎さんにお話を伺った。

“高齢者に親孝行をしたい”その一心が設立のきっかけに

軽費老人ホームは、住宅や家族の事情などの理由により、自宅で生活するのが難しい60歳以上で自分の身の回りのことができる方が入居できる施設。収入などにもよるが、比較的少ない費用で利用できるのが特徴で、洞庵荘は、佐賀県で民間初となる食事の提供がある軽費老人ホームA型として1985年に開設した。

松本一敏さん（以下、松本理事長）「もともと建設業を営んでいた私が、畑違いの老人福祉に取り組もうと思ったのは、若くして両親を死に目にも会えずに亡くしたことがきっかけです。“両親の代わりに、高齢者に親孝行をしたい”という一心で始めました。佐賀県内に、民間経営の食事付きの軽費老人ホームA型がなかったことから開設しましたが、当時は“親を老人ホームに入れるなんてみっともない”という社会的風潮や老人ホームの暗いイメージなどにより入所者が集まらず、大変苦労した時期もありました。開設当初は、佐賀より福岡からの利用者さんが多いほどでしたので、佐賀県中の役所を訪問してまわるなど軽費老人ホームへの理解を求めていきました。その後、時代の変化とともに、地元の方にも少しずつご利用いただけるようになりました」

理事長が“食事付きアパート”と称する軽費老人ホームA型。生活に必要なものを購入するために週１回はスーパーへの引率も行われている。日々の過ごし方などを聞いてみた。

松本竜四郎さん（以下、松本副施設長）「自分の身のまわりのことは自分でできる自立された方が入居されているので、毎日楽しく過ごしてもらえるようなお手伝いができれば、と考えてサポートしています。１日の中で決まっているのは、朝・昼・夜のご飯の時間だけです。栄養士による栄養バランスのとれたメニューで、四季折々の旬の素材を生かした料理となっています。調理室に隣接した広い食堂で、出来立てを楽しむことができますので、皆さんとても楽しみにされています。基本的には自由に過ごしていただいていますが、さらに充実した生活を送っていただけるようにカラオケや和紙工芸、手芸、絵手紙などのクラブ活動の他、お花見、旅行など季節感を感じられるイベントも催しています」

要介護度が重くなった場合でも、敷地内に隣接するグループホーム・小規模多機能ホーム・特定施設入居者生活介護施設・サービス付き高齢者向け住宅を利用することができる。

松本副施設長 「各施設が隣接しているので、介護度が重くなって別の施設へ移ったとしても、生活環境をあまり変えずに生活することができます。また、施設間でスタッフも行き来をしているので、顔見知りが多いということで安心していただいているようです」

『一緒に笑えば楽しさは倍！』気持ちに寄り添った会話を大切に

“親孝行をしたい”という理事長の思いからスタートした同施設のモットーは、『語らいから生まれるやすらぎの日々 心と心のふれあいに幸福を』。利用者との関わりで大切にしていることを聞いてみた。

松本副施設長「心がけているのは、とにかくたくさんお話をすることです。自立して生活されている分、気を遣ってあまり本音を言われない方もいらっしゃるので、気持ちに寄り添うように会話することを大切にしています。うちのスタッフは『楽しいことを一緒に笑えば楽しさは倍になるから！』とよく利用者さんと一緒に笑っていて、とにかく、お話をいっぱいしています。さまざまな想いから涙を流される時もありますが、お話をすることで気持ちの切り替えができて、ちょっと気持ちが楽になられることもあるようです。地元出身の方もいれば遠方から入居されている方もいて、生活してきた環境も性格も違いますが、家庭的な雰囲気のなかでのびのびと生活していただけるようにスタッフ一同心がけています」

スタッフの自主性を最大限発揮できる職場環境づくり

現在は、グループホームどうあん、介護付シニアライフSORAで介護スタッフと調理スタッフを募集しているという。求めている人材像を伺った。

松本理事長「当法人のモットーでもある“語らいから生まれるやすらぎの日々”を実現するためにも、コミュニケーション能力の高い方を求めています。話をしてコミュニケーションを深めることは、利用者さんとはもちろん、スタッフ間でもとても大切なことです。また、責任感をもって仕事ができる、というのも大切なポイントです」

施設入口や食堂横には日本庭園があり、中庭の池では鯉が泳ぐなど、施設内の至るところに“心地よく過ごしてほしい”という心遣いがうかがえる同施設。職場の雰囲気と、働きやすい職場づくりのための心がけていることを聞いてみた。

松本副施設長「本当に明るい職場だと思います。当施設は利用者さんが自立されている方々なので、スタッフも一緒に楽しんでいる感じです。子育て中のママや子育て経験者が多いので、それぞれの状況を理解して連携が取れるというのも当施設の特徴です。子どもの急な病気などで早退する時には、“仕事は大丈夫だから、早く帰ってあげて！”など声をかける姿が見られ、子育て中のママは特に働きやすい職場だと思います」

長年勤めてくれているスタッフが多く、離職率が低いという同施設。

松本副施設長「やりがいをもって楽しく仕事をしてもらうために、基本的には現場ファーストで、スタッフの自主性を最大限に発揮してもらっています。“上手くいかなかった時は、そこから改善していけばいい”という考えで、いいと思ったことにはどんどんチャレンジすることを推進しています。スタッフがいきいきと楽しく働くことが、ひいては利用者さんの満足度向上につながると考えています」